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編集 |
| 東京歯科大学眼科教授 |
| 島 崎 潤 先生 |
| も く じ |
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![]() 問題! からだの表面に一か所だけ、いつもずっと自分の目で見ているのに見えていないところがあります。 それはどーこだ。答えは今回のお話のなかにあるヨ |
●角膜は眼球壁、採光窓、そしてレンズ
眼球は強膜〈きょうまく〉という厚くて白っぽい膜で壁を作り球形を保っていますが、前方の角膜〈かくまく〉の部分だけは少し出っ張り透明になっています。透明ですからそこからは角膜の下の組織が見通せ、日本人では黒く見えます。つまり、黒目に該当するところを覆っているのが角膜です。
眼で物を見る仕組みは、この角膜を通過して屈折した光が、眼球後方の網膜〈もうまく〉に焦点を結ぶことで成り立っています。角膜は眼球をかたちづくる壁であり、光をとり入れる採光窓であり、同時に凸レンズとしても機能しているということです。
角膜の病気でその透明性が失われたり、かたちが変化してしまうと、視覚に障害が生じてしまいます。角膜ケアの大切さを理解していただくため、まずは角膜の構造、仕組みについてお話ししましょう。
●透明性を保ち続ける角膜の構造と仕組み
ガラスやプラスチックのような物質のように見える角膜も、実際はもちろん生きた細胞が集まってできています。つねに酸素や栄養を必要としていますし、ゴミなどによる刺激や細菌・ウイルスなどが侵入する危険にさらされています。
通常、酸素や栄養は血液によって細胞に運ばれ、外部からの異物の侵入は皮膚でブロックし、侵入したものは血液中の白血球などが排除します。ところが角膜は透明でないと意味がないので、血管も皮膚もありません。では、どのように酸素や栄養を取り入れ、外部からの刺激から守っているのでしょうか。
角膜を守る最表面のバリア、角膜上皮
角膜の厚さは中央部約0.5mm、周辺部約0.8mmで、表面側から上皮、実質、内皮の三層に分けられます。上皮は角膜の最も外側にあたり、皮膚をもたない角膜を守るバリアとして働いています。また外気から直接酸素を取り入れ、血液が通っていない角膜の細胞に供給しています。
ここで上皮のバリア機能を詳しく見てみましょう。まず、上皮では細胞同士が涙も通さないほどしっかりと組み合わさっていて、異物の侵入をブロックしています。また上皮は大変敏感で、わずかに傷ついただけで激しく痛み、まぶたを閉じるなどの対処を促します。さらに細胞の増殖スピードが皮膚よりもずっと早く、傷ついた部分をすぐに修復することができます。
眼球壁やレンズの役目を担う角膜実質
角膜の厚みの大半を占めているのは実質です。角膜とともに眼球壁を構成している強膜(白目に該当するところ)と同じコラーゲンの線維でできています。強膜はコラーゲン線維が不規則に並んでいるので白く不透明ですが、角膜はそれが規則正しく並んでいて光を素通しするので透明です。
病気や異物などによってコラーゲン線維の配列が乱れると、その箇所は不透明化します。また実質は、その下にある内皮を介して水分や栄養の供給を受けていますが、内皮細胞の働きが低下すると、実質が水分過剰になります。その結果、角膜がむくんで白く濁り、上皮と実質の間に水が溜まります(水疱性〈すいほうせい〉角膜症)。
角膜のポンプ、内皮細胞は再生しない
角膜の一番内側は内皮です。内皮は眼球内にある房水〈ぼうすい〉という栄養分を含む水を、血管をもたない実質へ送り届けたり、反対に実質内の不要な水を吸い出したりと、ポンプのように働いています。
内皮細胞は上皮細胞と異なり細胞分裂を行わないため、再生力がほとんどありません。内皮の一部が失われた場合は周囲の内皮細胞が大きくなってその穴埋めをしますが、その分、ポンプ機能が低下します。
炎症を起こしにくい角膜は異物に弱い
このような特殊な構造に加え角膜のもう一つの大きな特徴は、炎症が非常に起こりにくいということです。皮膚などに異物が入り込んだ場合、その部分に炎症を起こすことで異物を排除し、そのあとは瘢痕〈はんこん〉になって治癒〈ちゆ〉します。ところが瘢痕になってしまっては透明性が保てないので、角膜はこの方法をとりにくいのです。このため上皮がしっかりバリアしているのですが、バリアを破っていったん異物が侵入してしまうと、それをなかなか排除できません。
●上皮の病気は感染防止が一番のポイント
最初はごく小さな傷から始まる
角膜の病気の多くは、上皮にできた傷から起きてきます。コンタクトレンズの不適切な使用や目に入ったゴミ、逆さまつげ、光線による刺激などが、頻度の高い原因としてあげられます。
上皮は敏感なので傷ができるととても痛み、涙が出て、目が赤くなります。治療には人工涙液を点眼したり、治療用のコンタクトレンズや眼帯で眼を守ります(ケガをしたときに絆創膏〈ばんそうこう〉を貼るのと同じです)。
上皮に傷がついても、上皮細胞は修復速度が早いため、きちんとケアすれば短期間で治ります。しかし、傷が治りきるまではバリア機能が低下していますので、細菌などに大変感染しやすい状態が続きます。
もしそれらに感染してしまうと、角膜はそれを取り除く力が弱いので、小さな傷でも急に悪化して経過が長引き、視覚に障害が残るようなことになりかねません。感染を起こす前に治療を受けるか否か、それが角膜上皮の病気の進行を左右する大きなポイントです。
※角膜上皮障害と関係のあるドライアイについては、このシリーズの No.14 をご覧ください。
●雪目は夜に痛みだすゴーグルやサングラスをせずにスキーをしたときに生じる角膜上皮障害を、俗に雪目〈ゆきめ〉といいます。太陽光線のほか、溶接作業の光なども原因となります。角膜に光があたっているときは痛みを感じず、たいてい夜になったころに痛みだし、患者さんを慌てさせます。強い光を浴びるときは、必ずゴーグルやプロテクターをしましょう。なお、光線刺激による上皮障害は、通常は数日で軽快します。 |
●コンタクトレンズによる失明・角膜障害
コンタクトレンズはきちんと使用していれば安全ですが、そうでないと、本文で解説しているような感染症を招くほか、次のような問題も生じます。角膜は血管がなく上皮を通してのみ酸素を取り入れていますので、コンタクトレンズを定められた装着時間以上に使用していると、酸素が欠乏します。それを補うために、本来は角膜にあってはならない血管が伸びてきます。この血管は一度できると消えることはありません。そして瞳孔の位置にまで伸びると視力が低下します。また、将来もしも角膜移植が必要になった場合、移植後に拒絶反応が大変起きやすくなってしまいます。 コンタクトレンズの不適切な使用が原因で結果的に重度の視覚障害に至る人は、国内で毎年数百人に上ります。洗浄が不十分、使用期限や装着時間を守らない、装着したまま眠る、検診を受けない…このような間違った使い方は、ぜひ今すぐ改めてください。 なおソフトレンズはハードレンズに比べ、装着感がよく角膜の感覚が鈍るので傷や病気に気付きにくい、レンズが水を含んでいるので細菌などが繁殖しやすい、サイズが大きいだけに形状が合わないと低酸素状態になりやすい、といったことから、より注意が必要です。 |
![]() | 細菌性角膜感染症。緑膿菌による感染で、潰瘍ができています。 |
真菌とはいわゆるカビのことです。感染の頻度は低いですが、ステロイド薬を使用していたり、手術後などで免疫力が落ちた状態では、感染しやすくなります。真菌は角膜内で胞子〈ほうし〉状になって身を守ろうとしますので、抗真菌薬を使用しても治るのに時間がかかります。
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| 角膜ヘルペス |
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●視力を取り戻せる角膜移植は順番待ちで
角膜の透明性が失われたり形が変化してしまい、それが回復しない場合には、角膜移植による治療が行われます。角膜は移植治療が行われている組織のなかで最もその歴史が長く、成功率が高い組織です。一方で、提供される角膜が少ないために、なかなか手術を受けられず長期間順番を待っている患者さんが大勢います。現在国内に角膜移植をすれば見えるようになる眼は2万眼以上あるとされています。これに対し亡くなったあとに献眼される人は1,000人弱(2,000眼弱)。しかもドナー登録された方が亡くなられたときに、その善意が生かされる確率は高くありません(登録してから亡くなるまで何年もたっていて忘れてしまうことなどが理由)。このためアメリカ人ドナーの角膜を用いることもあります。システムや文化の違いからか、アメリカでは余裕ができるほどに角膜が提供されています。 |
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| 水疱性角膜症 |
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| 角膜変性症 |
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| 翼状片 |
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![]() 最初の問題の答えはみんなもうわかったよね。答えは角膜。角膜は透明で自分には見えないことが大切なんだね。角膜が見えちゃったら、かんじんの見たい景色とか読みたい文字が見にくくなっちゃうもんネ |